復興支援活動

西日本豪雨災害(平成30年7月豪雨)

 平成30年7月、西日本を襲った豪雨災害は、広島・岡山・愛媛一帯に幅広く深い傷跡を残しました。特に広島県呉市では交通が遮断されることにより、県外からのボランティア受け入れが困難となり、復旧・復興が遅れていました。そのような中で、本学の設立母体のひとつである、日本福音ルーテル教会西教区から呉市安浦地区での支援活動の呼びかけがあり、大学生4名と教員1名が参加しました。その活動をここにご報告いたします。

活動報告

報告者:ルーテル学院大学チャプレン 河田優

8月6日(月)シオン教会徳山チャペルに集合した学生4人は、翌日に東広島駅で教員と合流し、シオン教会牧師の運転する車で被災地に向かいました。道中、自然豊かな山に目を向けると、山肌に熊のひっかき傷のようないくつもの土砂崩れの跡がありました。被災された方のお宅に着くと早速、作業用長靴に履き替えての作業を開始しました。作業内容はくるぶしあたりまで残っている泥出しと、浸水物品の仕分けです。水分を含んでいる泥は粘土質であり、予想以上に重たく、猛暑の中で大変な作業となりましたが、それでも休憩を取りつつ、皆で協力をしながら掻い出しを続け、結局100枚を超える土嚢袋が泥でいっぱいとなりました。汗と泥にまみれた作業を終えた後、皆が集まり、この日の振り返りとして互いの思いを語り合いました。また被災された方からも感謝の言葉をいただき「またお会いしましょう」との言葉を交わし、呉市をあとにしました。災害後、一か月経っていてもまだまだ支援を必要とされている方々がおられます。そのような方々の声に耳を傾けて、これからも私たちのできることに努めてまいりたいと思います。
報告者:ルーテル学院大学1年 上村卓

8月7日、広島県呉市安浦町にあるお宅の泥出しのボランティアに参加した。現地に向かう高速道路の途中で災害の痕跡がところどころに見受けられた。路肩には白っぽく乾いている泥が、トンネル内の壁には浸水時の水位の高さがわかる跡が残っていた。目的地に近づくと山の斜面に土砂崩れの様子が生々しく残っていた。午前10時頃、奉仕させていただくお宅に到着。蔵の中にある泥をバケツリレーの要領で運び出していく。報道などからは伝わってこない泥の重さと臭いが印象的だった。昼食休憩のとき水原牧師が「蔵の中にあるものはどれも家の人にとっては思い出の詰まった大切なもの。私たちはそれらををゴミとしては決して扱わない」とおっしゃった。ボランティアとは成果を得るための労働ではなく、困っている人、悲しんでいる人の気持ちに寄り添う行為であることを痛感した。午後2時に作業を終えた後、家の方とお話しする時間があり「自分の家のことだけれど、なかなか手につけられなくて。だからボランティアの方には助けられている」ということをおっしゃった。しかし、それは当然なことで、災害で傷つき、疲労のなかにあるなかで作業するのは困難である。災害時には人とのつながりや、被災者を孤立させないことが重要だと感じた。ボランティアとして参加した私も被災地や被災された方とつながることで得られたものは多かった。家の方に言われた「ありがとう」は私が生きる上で重要で価値あるものとなった。今回のボランティア活動を通して思ったことは、関わることがいかに大切であるかということだった。関わることを通して初めて被災者の苦しみが自分のものとなり、その共感が真の支援へとつながるのだと感じた。また、家の方が「多くの方々から祈ってもらえることが力になっている」ともおっしゃっていた。その言葉を聞いて、私は祈ることの力に気付かされた。私はノンクリスチャンであるが誰かのために祈るということ、誰かに祈ってもらえるということは相手と自分のつながりを深め強くしてくれるのだと感じ、それも大切な関わりなのだと思った。ソーシャルワーカーを志す身として、今回の体験は非常に大きなものを与えてくれた。この体験を活かして人と人をつなげるコミュニティの実現のために努力していきたい。

西日本豪雨-1

西日本豪雨-2

西日本豪雨-3

西日本豪雨-4

平成28年熊本地震

  平成28年熊本地震では、熊本県内及び九州各地に甚大な被害が及び、多くの尊い命が奪われました。この地震により、犠牲になられた皆様に謹んで哀悼の意を表しますと共に、被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。ルーテル学院大学では、学生有志による支援団体を立ち上げ、被災された現地の方々への支援を目的とした募金活動を、大学及び街頭(武蔵境駅・吉祥寺駅)で実施いたしました。また、神学生たちは現地でのボランティア活動をしてきました。今後は、NPO法人チャイルド・ファンド・ジャパンとも協力して、被災した方たちの心のケアとも関わっていく予定です。被災した地域の皆さまの安全と、復興を衷心よりお祈りいたします

活動報告

2016年5月8日~5月13日まで、日本ルーテル神学校から神学生6名が熊本の被災地支援に向かい、日本福音ルーテル室園教会、同・健軍教会、広安愛児園を拠点として、依頼のあった方々の被災地支援を行いました。
自宅の片づけを依頼された例
住民の方はお年を召した方であり、手が付けられていない状態であった。
このように様々なものが崩れた状態の中で生活されており、余震でまた崩れてしまうことを考えると、片づける気力も奪われている現状であった。

復興支援_01

家の外側に積み上げられていた木材が崩れ、通路を塞いでしまった例。
震源地に近い場所での作業。「要注意」の張り紙を貼られる中で、余震でさらに被害が大きくなる可能性もあり、罹災届の申請もしがたいこと、また様々な理由から未だ危険な家屋に留まらざるを得ない状況もある。

復興支援_02

益城町の広安愛児園で、布団を干し、取り込む作業。
ここでは多くの方が避難生活を送っていた。支援活動として、コーヒーやクッキーを提供する休憩所(カフェ)が開かれ、貴重な交流の場所になっている。また、洗髪やマッサージ、衛生管理のボランティアの方などが集まり、支援をいただいている。

復興支援_03

宿泊施設、ルーテル阿蘇山荘も壊滅的な被害を受けていた。施設までのほとんどのルートが封鎖されており、一帯の家屋は倒壊、がれきが道にまで転がり出ていた。ロッジは甚大な被害を受けており、このまま使うことは難しそうに思われた。多くの方にとって思い出ある建物がこのような被害を受け、心に深い悲しみを覚えた。

復興支援_04

熊本では今もなお余震が続き、多くの人々が不安な日々を送っている。今回の訪問で、私たちがボランティアとして何か大きなことができたわけではなかった。一週間弱という短い期間の中で、一人ひとりの被災者の方と向き合い、地道な片づけや引っ越しの作業を手伝うことしかできなかった。しかし遅々として生活状況の改善が進まない現実の中で、その苦しみの中におられる一人一人に寄り添い、祈りあい、小さなことから助け合っていくことから、復興への歩みは始まっていくのかもしれない。

募金活動

皆さまから頂戴した募金は、赤い羽根共同募金「平成28年熊本地震支援金(支える人を支える募金)」及び日本福音ルーテル教会「熊本地震-地域生活支援」を通じて寄附させていただきます。※日本福音ルーテル教会は、九州教区救援対策本部「できたしこ ルーテル」が行う、地域への支援活動を支えています。九州教区救援対策本部「できたしこ ルーテル」Facebook
街頭による募金(武蔵境駅・吉祥寺駅)
赤い羽根共同募金「平成28年熊本地震支援金(支える人を支える募金)」
募金額 31,831円

学内関係者による募金
宗教法人日本福音ルーテル教会 熊本地震-地域生活支援
募金額 60,643円

復興支援_05

東日本大震災

2011年3月11日に東日本大震災が発生してから、ルーテル学院は被災された方々への支援を行ってきました。その年の4月にはルーテル学院復興支援チームが立ち上げられ、本学の設立母体である日本福音ルーテル教会・日本ルーテル教団と、近畿福音ルーテル教会・西日本福音ルーテル教会の4教会によって組織された「ルーテル教会救援対策本部」を中心に、様々な関連団体と連携をとりつつ活動を続けてきたのです。現在もなおこれまでに築かれた関係の中で被災者への支援活動は続けられていますが、ルーテル学院復興支援チームとしての活動は一区切りつけられましたので、その3年間にわたる活動をここに報告いたします。本学の教員や研究所などの団体による働きも合わせて報告いたします。
ALL INDEX