建学の精神とその使命

建学の精神とその使命

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本学院では、建学の精神と使命(ミッション)を、教育の根幹として位置づけています。そして、現代へ継承されてきたマルティン・ルター(ルーテル)とその改革(リフォメーション)の精神を、本学院に携わるすべての者が継承し続けるために、実際の行動に資する指針として明文化したものを「ミッション・ステートメント」として宣言しています。

学校法人ルーテル学院 理念構成図.pdf

建学の精神

キリストの心を心とする
「汝らキリスト・イエスの心を心とせよ」(新約聖書ピリピ書第2章5節・文語訳)


本学は、キリストの心を心とし、愛と奉仕と福音宣教に生きる人を育てる。
なぜなら、キリストは一人ひとりと出逢い、十字架の愛により、その一人ひとりを生かしているからである。
建学の精神について
ルーテル学院の建学の精神は、聖書の言葉そのものです。「汝らキリストの心を心とせよ」(フィリピの信徒への手紙2 章5 節・文語訳)。イエス・キリストの心をあなたの心としなさい、イエス・キリストの生き方をあなたの生き方としなさい、そう招かれているのです。

心、それは見えません。キリストもそうです。そもそも本当に大事なものは見えません。しかし、聖書は証しています、イエス・キリストは真実の愛そのものである神さまが人間となられた方だと。だから、神の愛の発露なのだと。キリストは神の愛を全身に受け、神を愛し信頼し神に従って、その生涯を通して愛を語り、愛を実践し、愛を生き抜かれたのです。十字架の死に至るまで、わたしたち一人ひとりをその極みまで愛し、大切にし、生かしてくださったのです。それがキリストの心、それがキリストのいのち、キリストの生き方なのです。

その喜ばしい知らせ(福音)を宣べ伝える牧師の養成のために110年前に建てられた日本ルーテル神学校と、そこから生まれた大学と大学院2専攻を擁するルーテル学院大学で、創立以来ずっとその教育の根底に貫かれてきた考えが「キリストの心を心とする」なのです。愛するとは、自分を富ませ己の益を図ることではなく、相手を生かし大切にすることです。そして、その思いは神にそして誰かに愛された者だけが持つことができます。ですから、本学は「一人ひとりを大切にする教育から、一人ひとりを大切にする人材が育つ」という信念に立って教育に励んできました。一人ひとりが大切にされた(愛された)経験こそが、今度は自分が一人ひとりを大切にする(愛する)ことへと駆り立てるのです。

本館玄関近くに展示されている「収穫」(E. ゴメス画)と題された絵は、本学卒業生藤崎るつ記さんが自らの命を顧みず溺れる2人のフィリピンの友人を助けて大きな影響を遺した出来事が背景にあります。彼女の生と死はまさに聖書の「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」(ヨハネによる福音書12 章23 節)という言葉の実践だったのです。

アッシジの聖フランシス作とされる「平和の祈り」(本館廊下の南端)は「主よ私を平和のうつわとならせください」で始まります。これこそ私たち一人ひとりの祈りです。本館二階に立つ「両手のないキリスト像」(作者不詳)は、見る者に「あなたがキリストの手なのだ」と静かに呼びかけています(コリントの信徒への手紙一12 章12 ー27 節)。チャペルの正面に向かって左壁面の巨大なレリーフは、人々にキリストと一緒に霊の糧とともにパンとスープを配っている人々の場面で、「派遣」(ミッション。これはまた使命また宣教の意味も併せ持つ。R.カイテン作)と名付けられています。

これらの作品をとおして伝わってくるのは目に見えない「キリストの心」です。見えないけれども、しかし、これこそ今の世になくてはならないものです。求められているものです。本学が拠って立つ精神です。

このような「キリストの心」に支えられて生きようとする若い魂に、宗教改革者マルティン・ルター(ルーテル)は東門から広がる大芝生に立つモニュメントを通して朝な夕な語りかけています。「自分のためにではなく、隣人のために生きて仕える生に神の祝福があるように」と。

本学の使命(ミッション)

本学の「建学の精神」は、その百年を超える歴史を貫いて教育の礎であり、また展開の軸となってきました。つまり、それは単に本学にとってのアイデンティティということだけでなく、具体的な専門教育を通して人材を養成する大学のミッション(使命)の中に具体化し、結実してきたのです。即ち、本学の使命(ミッション)は次のような言葉に表されます。
「一人ひとりを大切にする教育」を通じて
「キリストの心を心として神と世に仕える」人材を育成する
本学の使命(ミッション)について
本学の使命(ミッション)は、「一人ひとりを大切にする教育」を通じて、「キリストの心を心として神と世に仕える」人材を育成することです。教育の目的が人材の育成であることは当然ですが、どのような人材を育てているのかが肝心なことです。本学は、それを「神と世に仕える」人材としました。

聖書によれば、神様に仕えるということはこの世の人々に仕えることと切り離すことはできません。この世の小さい者たちや弱い立場にある人々を助け、生かし、この世に正義と公平、平和が実現するように働いていくことこそ、神様に従っていく信仰からあふれ出てくる生き方とされています。それは、イエス・キリストご自身がわたしたち一人ひとりを愛し、生かしてくださったことへの感謝と喜びの応答といってよいのです。

他者のために仕えること。隣人の幸せのために働くこと。この「キリストの心」を心とした人材を育成していくのが本学の使命です。人間の尊厳を神様との関わりのうちに深く理解し、一人ひとりの存在を支え、心を支え、生活を支えていく働き人を育てていくことを目的としているのです。

そのような人材育成は、どのように実現されるのでしょうか。

その「問い」に対して本学の確信するところは、「一人ひとりを大切にする働き人」は、ただ、「一人ひとりを大切にする教育」を通して育てられるということです。一人ひとりを大切にするとは、言い換えれば、その人を深く愛することであり、理解し、受容し、支持し、同伴し、その人の全人的な成長を援助することです。

本学は、その使命を実現するために、それぞれの専門分野における高度な知識と技術を提供するだけではなく、チャペルでの礼拝を中心にキリストの愛にふれ、キャンパスの生活全体を通した教育のなかで、「一人ひとりを大切にする」ことを実現していくことを目指しています。
ミッション・ステートメント
ここで言う「本学」とは、学校法人ルーテル学院を指す。本学を構成する、ルーテル学院大学、同大学院、日本ルーテル神学校は、その設立の精神と社会的使命とを共有し、共通の課題を担っている。それぞれの専門分野における使命は、この共通の使命の個別的側面である。
本学は、日本福音ルーテル教会と日本ルーテル教団を設立母体とするミッション・スクールであり、常に両教会と協力しつつその使命を果たすために全力を尽くす。教会と本学とはその直接的使命を異にするとはいえ、相互の理解・協力関係があって初めて本学はその使命を達成することができる。
この使命を達成するために、本学はそれぞれの専門分野における高度の知識と技能を提供するだけでなく、チャペルでの礼拝を中心とするキャンパス共同体の中で「一人ひとりを大切にする生き方」を形成するよう努める。
この使命を効果的に達成するために、本学は、両教会のみならず、各個教会、卒業生、後援会、その他、本学と関係する諸団体と常に密着な意思疎通に努める。
本学を構成する各人は、本学のこの使命を認識し、一致してその使命の達成に努める。
2001.12.18 理事会決議

教育目的

「心と福祉と魂の高度な専門家を養成する」
本学は、キリスト教を基盤とした人格教育のもと、マルティン・ルターの宗教改革の精神に基づき、「キリストの心を心とし神と世に仕える人材」、特に心と福祉と魂の高度な専門家を養成することを目的としています。

学部・研究科の教育研究上の目的

総合人間学部
本学はキリスト教を基盤とした人格教育のもと、ルターの宗教改革の精神に基づき「キリストの心を心とし神と世に仕える人材」、特に心と福祉と魂の高度な専門家を養成する教育事業を、教育基本法及び学校教育法に従って行うことを目的とする。
 
本学のキリスト教精神のルーツともいうべき宗教改革者マルティン・ルターは、「自分のためでなく、隣人のために生きて、仕える生に神の祝福があるように」という言葉を残している。本学は、そのルターの精神を継承し、キリスト教的人間理解に立ち、今日の社会における様々なニーズを持つ人々のために働き・奉仕する人材を養成することを目的としている。特に生活上の困窮を持つ人々に寄り添う社会福祉、心に悩みを持つ人々に寄り添う臨床心理、そして生きる意味や意義を問い求めるスピリチュアルな課題を持つ人々に寄り添うキリスト教の三つの専門教育を通して、学生一人ひとりが包括的・全人的人間理解を身につけ、いのちと世界についての深い理解と洞察を持ち、対人援助の心を涵養し、具体的な援助の知識と技術を身につけることを本学部の目的とする。
 
すなわち、キリスト教的人間理解を進め、「キリストの心を心とする」愛に根ざした援助者の育成を目指す。

人間福祉心理学科
本学科は、人々の生活の困窮に寄り添う社会福祉、心の悩みに寄り添う臨床心理、そして生きる意味や意義を問い求めるスピリチュアルな課題へ寄り添うキリスト教の教育を一体として提供し、学生一人ひとりが包括的・全人的人間理解を身につけ、いのちと世界についての深い理解と洞察力を持ち、対人援助の心を涵養し、具体的な対人援助の知識と技術を身につけることを目的とする。

総合人間学研究科
社会福祉学専攻博士前期課程
高度な専門職業人としてソーシャルワーカーの養成を目指す。また、社会福祉施設・機関における運営・管理者の養成を目指す。

社会福祉学専攻博士後期課程
社会福祉学の研究者及び教育者の養成を目指す。また、社会福祉の実践理論と法政策に通じた施設・機関の運営管理のエキスパートを養成する。

臨床心理学専攻
本学の基礎をなすキリスト教精神―愛と献身の心―をもって、人々と接することができる専門家の養成を目指す。また、心理・教育・医療機関などの臨床の現場で高度な専門知識と技術を駆使することができる臨床心理の専門家を養成する。