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目に見えない「心」に関心を持った皆さんへ

植松 晃子 教授 
専門分野:臨床心理学、発達心理学

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メッセージ

目に見えない「心」というものに関心を持った皆さんへ。「心」を探求対象にした心理学という学問領域の幅広さ、それを築いてきた先達の努力とひらめきには驚くばかりです。中でも臨床心理学は知識を実践に活かすこと、そして実践の中から新たに、あなたなりに心への「道」を作っていくことが大事になる学問だと思っています。私自身は、異文化での心理、また幼少期からの自我同一性(アイデンティティ)発達に関心を持って研究しています。共に学んでいきましょう。

授業の紹介「カウンセリング実技の基本」

カウンセリング実技の基本の授業では、カウンセリングとはどういう心理的援助なのかを理解し、それに必要なものは何かを理解することができます。特にカウンセリングを実践するカウンセラーの臨床的態度やカウンセリングを進めるための技法を中心に学びます。前半は討論を交えた知識の整理を中心に、後半はロールプレイを用いた体験学習を中心に授業を構成しています。

    授業の形式

講義だけでなく、自分の心と身体を実際に動かす体験学習を取り入れています。講義で学んだ内容を自分で感じたりできるようなワークショップを実践したり、カウンセラー役とクライアント役を演じてみるロールプレイを行っています。授業の前半は講義が中心ですが、後半は体験学習が中心になっていきます。カウンセリングは知識だけではどうしても限界がありますので、自分の実感にもとづいて学びを深めてもらおうとしています。

    体験学習について

例えば、講義の中で「自己一致」について習ったとします。これは「カウンセリング」という心理的援助法を創始したカール・ロジャーズが提案した言葉です。“自分とはこういうものだ”という認識(自己概念)と実際に体験したことが一致していることを示します。実はなかなか難しいことなのですが、自己一致の割合が少ないと、例えば“私は親切な人間だ”という認識が、“頼まれたことが、嫌だから断る”という体験を認めがたくし、無意識に我慢を募らせたり、断った後に自分を責めたりと心理的な負担を招いてしまいます。クライアントの自己一致を支えるためにも、カウンセラーはできるだけ自分の体験に開かれ、自己一致していることが望ましいのです。さあ、このようなことを授業で習ったとしましょう。そして「では皆さんはどうですか ?」と尋ねられても、おそらくあまりピンとこないのではないでしょうか。そこで体験学習を実践すると、自己一致の感覚と自己一致していない感覚について、自分の実感を通して「こういうものなのだな」と理解していくことができます。実際に体験する時間自体は平均1分から3分、長くて5分ほどです。こんなに短い時間に、沢山の学びが詰まっています。これが体験学習の面白さです。

    全学生が受講できる

毎年50人ほどです。この授業は2年次以上であれば、全学生が受講できます。臨床心理士や公認心理師を目指す学生だけでなく、将来、社会に出て何らかの形で人と関わる仕事をしたいと考えている学生や、純粋にカウンセリングに興味のある学生も受講していると思います。

    この授業の魅力

カウンセリングや、カウンセラーの役割について理論や文献からより正確な知識を伝え、そして毎回新鮮な体験を通じて学んでいってほしいと思っています。体験学習は、自分で自分の目標を見つけて取り組むことを重視していきますので、いわば一人ひとりの学生が自分に合わせてオーダーメイドのプログラムを作っていくような授業になっていきます。言われたことをやるのではなく、自分で自分のために時間を使えるのが、この授業の魅力なのではと思います。皆が積極的に取り組みはじめると、笑ったり悔しがったり、教室全体が活気づいてくるんですよ。

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模擬講義「理論から探ろう、カウンセラーの仕事とは?」

カウンセラーの仕事を支えている臨床心理学のベースとなる視点や理論を紹介しています。

https://youtu.be/feMA1XkZtQc

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